小城のことをよく「佐賀の小京都」といいます。歴史と文化の香りが京都の面影をかもし出しているからでしょうか。現に小城の地形・まちづくりは京都のそれとよく似ています。この二つの町が似ているのは、いずれも風水思想をもとに考えられているからです。風水思想とは中国の陰陽説で、風と水いわば天地の二気が、完全に調和する地域に都城などを造るのがよいという考えです。
むかしの都はこの考えにもとづいて造られており、京都・鎌倉、古くは奈良にも、この風水思想が生きています。だから必然的にこれらのまちはよく似ているのです。この風水思想は清冽な川を中心に広がります。京都の鴨川や桂川、小城ならば、さしずめ村岡総本舗前の祇園川であり、西の晴気川でありましょう。いずれも北の山あいを通り抜けた美しい純粋な水の流れ。その流れのたもとに整理されたまち並みがひらけています。そして当然のごとく和紙や羊羹などの水の文化が生まれています。
いわば自然を生かしながら自然とともにまちづくりをやってきた。その先人たちの知恵をうかがい知ることができます。小城が小京都といわれる所以もここにあり、京菓子と対比される羊羹の存在も、小城を育んできた先人の心豊かな産物といえるのではないでしょうか。
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羊羹資料館
小城町は「羊羹のふるさと」と呼ばれて、小城町の名水で作られる羊羹は、全国的に有名である。レンガ造りの砂糖倉庫を改装した資料館は昭和初期のたたずまいを残している。切り羊羹と抹茶をいただき、館内を見学すると、意外な羊羹のルーツに出会う。 |
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須賀神社(すがじんじゃ)
正和(しょうわ)五年(1316年)に下総より下向した千葉胤貞(たねさだ)が祇園社を建立、のちに須賀神社と改名された。150段以上ある急な石段をのぼると、小城の町を一望することができる。 |
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小城公園の茶筅塚
町の中心部にあるこの公園は、初代藩主・鍋島元茂(なべしまもとしげ)が植樹しはじめ、二代藩主直能(なおよし)が「桜岡」と命名して以来の桜の名所である。 |
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祥光山星巌寺(じょうこうざんせいがんじ)
小城藩主の菩提寺である星巌寺は、貞享元年(1684)、二代藩主直能により、起工、三代元武(もとたけ)の時に完成した。中国風の楼門は、嘉永五年(1852)竣工。藩主墓地には、珍しいベンガラ塗りの御霊屋が残る。境内には江戸時代中期の作と推定される五百羅漢がある。 |
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松尾山光勝寺(こうしょうじ)
日蓮宗の鎮西総本山。文保元年(1317)、千葉胤貞の猶子(ゆうし)である日祐の開山といわれる。 |
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御手洗(おちょうず)の滝
特産のみかん畑の間を通り、山林の遊歩道をしばらく散策すると、美しい滝が眼前に現れる。規模こそ大きくないが、清冽な流れにしばし時を忘れる。地元の人しか知らない隠れた名所。 |
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牛尾(うしのお)神社
延暦十五年(796)、桓武(かんむ)天皇の勅宣により創建。箱根・熊野・鞍馬とともに、日本四別当坊の一つ。また、近くには、六地蔵と呼ばれる六体の地蔵を彫り込んだ石塔がある。 |